石の割り方と、割らない判断
せっかく化石の入った石を見つけても、割り方を誤ると中身ごと砕けます。 そして割らずに持ち帰ったほうがよい場合があります。ここを間違えると 取り返しがつかないので、先に判断のほうから書きます。
まず、割るかどうか
| 状況 | どうするか |
|---|---|
| 表面に化石が見えていて、形が分かる | 割らない。母岩ごと持ち帰り、家で少しずつ削る |
| ノジュールで、中身が分からない | 現地で割ってよい。空振りなら置いて帰れる |
| もろい岩(珪藻土・凝灰岩・風化した泥岩) | 割らない。乾くと崩れる。新聞紙で包んで持ち帰る |
| 大きすぎて運べない | 化石から十分離れた位置で小さくする。近くを叩かない |
| 珍しそう・大きい・全身が入っていそう | 手を出さない。写真と位置を記録して博物館に連絡 |
最後の行が重要です。学術的に価値のある標本は、 どの層のどの位置から出たかが分かって初めて意味を持ちます。 自分で掘り出してしまうと、その情報が永久に失われます。
層に沿わせる
堆積岩は層の面がいちばん弱く、化石もその面に沿って寝ています。 だからそこに沿わせて開くと、少ない力で、化石の顔が出る向きに割れます。
手順
- 保護メガネをかける。破片は目の高さに飛びます。ここは省けません。
- 石を地面や大きな岩の上に安定させる。手で持って叩かない。
- 層の面(縞の向き)を見つけ、タガネの刃をその面に平行に当てる。
- いきなり強く叩かず、軽く何度も。位置を少しずつずらして、 線状に力を入れていきます。
- 「パキッ」と音の質が変わったら、そこから開きます。
ノジュールは層が無いので、いちばん薄い方向(扁平な面に垂直)に 線を引くように叩きます。中心に核があるので、真ん中を狙うと核ごと割れます。 少し外して当てるのが安全です。
やってはいけないこと
- 鉄工用ハンマーを使う。焼きが入っていない鉄はめくれ、 かけらが鋭利な破片になって飛びます。岩石用(クラックハンマー)を使ってください。
- ハンマー同士を叩き合わせる。両方とも欠けます。
- 露頭を掘り崩す。崩れると危険なうえ、あとから来る人が探せなくなります。 転石(落ちている石)で足りることがほとんどです。
- 濡れたまま袋に密閉する。もろい岩はふやけて崩れます。 新聞紙で包んで、乾かしながら持ち帰ります。
持ち帰るときの包み方
- 割れた面を合わせ、ずれないように新聞紙で包む(欠片も全部拾う)
- 包みの外側に産地・日付・層準を油性ペンで書く。 あとで思い出せると思っていても、3つ持ち帰った時点で混ざります
- もろいものは、他の石と一緒にしない。上に重い石を載せない
記録の残し方は記録の取り方にまとめてあります。
ほかの解説
- 採ってよい場所かどうか — 権利・許可・採った化石は誰のものか
- 安全 — 崖・増水・熱中症・クマ
- 道具 — 何から買えばよいか
- 岩の見分け方 — 点数の高い岩が、現地でどう見えるか
- ノジュール(団塊)の見分け方 — 化石が入っている石のかたち
- 記録の取り方 — その化石を価値あるものにするもの